横浜市

迷走する中学校給食
2022.10.14

令和3年4月から横浜市立中学校では、学校給食法に基づく給食が選択性デリバリー方式で実施されています。選択制とは、給食を希望する人は予め注文し、家庭からお弁当を持参する人は注文しないというように選択できます。デリバリー方式とは、民間事業者が自社工場で調理した給食を各学校に配送する仕組みです。昨年8月の横浜市長選挙で、山中市長が、「中学校給食全員喫食」を公約に掲げたことから、教育委員会では中学校給食の実施方法を再検討を余儀なくされています。これまで様々な議論を経て、ようやく選択性デリバリー方式がスタートしたばかりなのに、そうした経緯も顧みず再検討を強いる山中市長の姿勢にはがっかりします。

やり方は5通り、いずれも課題がある

中学校給食の実施方式は大きく分けて5通りあります。各中学校に給食室を整備して調理する自校方式、近隣の小学校の給食室で調理して中学校に届ける親子方式、市が方面別に給食調理センターを整備し各学校へ配送するセンター方式、民間事業者の工場で調理したものを配送するデリバリー方式、自校方式、親子方式、センター方式を組み合わせたミックス方式です。いずれも課題があります。自校方式では、学校敷地に余裕がないことから106校で給食室を整備することが困難です。親子方式では小学校の給食室に調理に余裕がなく102校で実施が困難です。センター方式では市内に6箇所の用地が必要となりますが用途地域にあう用地確保が困難です。デリバリー方式では、現在の民間企業者の製造余力は喫食率40%程度で全員分の給食を製造する余力が足りません。また、これらの設備投資にかかる費用も莫大で、センター方式では、土地取得費を除いて約418億円、デリバリー方式で工場誘致支援補助金を除いたとして約47億円と試算されています。人口減少時代に突入し将来の財政状況に不安が募るなか、これだけの投資に耐えうるか厳しい判断を迫られます。
食べてみないとわからないから試食会を企画

学校給食法上の給食に位置づけられる以前も配達弁当という形で提供されていたのがハマ弁です。ハマ弁は、「あまり美味しくない」とか、「おかずが冷たい」など、どちらかというとネガティブな印象が染み付いてしまったようですが、給食化以降は、様々な改善も図られているようで、保護者のみなさんに試食していただくと印象も前向きに変わっているようです。

(中学校給食紹介ビデオ)

令和4年度には、山中市長は中学校給食の実施方式について方向性を固めていくものと思われます。鈴木太郎は、横浜市の中学生のニーズ、保護者のニーズ、そして財政的な側面も含めて取りうる最適な方向性を見出して行きたいと考えています。そのためにも保護者の皆さまを始め、多くの方々に中学校給食がどんなものなのか試食していただくことが大切です。今後、鈴木太郎政策研究所においても中学校給食の試食会を企画して参ります。

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