4月17日に、みなとみらい60、61街区の開発を進める民間事業者の公募が発表されました。この街区は、完成間近な音楽アリーナのKアリーナやアンパンマン・ミュージアムに隣接するところで、みなとみらい21地区では「ラスト・リゾート」とも言われ、地区全体の開発の総仕上げとなる重要な街区です。 当街区は、みなとみらい21地区の中心部と横浜駅の両方に隣接しており、都心臨海部における象徴的な開発を行う必要があります。このエリアでは、「観光・エンターテイメント」を軸とした街づくりを進めており、周辺の計画と親和性があり、相乗効果を生むような魅力ある提案が期待されます。当街区の総面積は約23,000㎡で、横浜市は、一括して売却する場合、214億円以上を提示しています。
60、61街区は、林前市長が、「オペラ公演ができる本格的な劇場」を整備したいと意欲を燃やした際に、その候補地とされた場所です。鈴木太郎は、この話を聞いた時に、真っ先に反対の声を上げました。公共施設を整備するのに、土地を取得しなければならないとなると大変ですが、幸いにしてみなとみらいに残る市有地として劇場整備にふさわしいと考えられたようです。
しかし、話はそう単純ではありません。長年にわたるみなとみらいの開発は、港湾の埋立事業と民有地を含めた区画整理事業によって進められてきました。横浜市が起債や借入によって資金調達し、そのお金を使って、かつては海だったところを埋め立てて道路を整備し区画を整えてきました。そうしてできた敷地を民間に売却して得られる資金で借金を返済することになっています。区画整理にあっては、将来の民間への売却がしやすいように土地をまとめる必要があったことから、第3セクターである横浜市土地開発公社が金融機関から借り入れを行い、土地を先行取得しました。購入した用地を民間に売却し、それによって得た資金で借入を返済するのが筋です。
ところが、すべての土地の処分が済んでいない2013年に土地開発公社を解散することになりました。当時は、全国的に地方自治体の第3セクター(外郭団体)を整理する動きが活発で、政府もその後押しをしていて、自治体が第3セクターを解散する際に資産と負債を引き継ぐ場合に必要な資金を市場から調達する「第3セクター等改革推進債(三セク債)」の発行を認めていました。これを受けて横浜市は、2013年に1,372億円の三セク債を発行しました。横浜市が、みなとみらい21地区の未処分地と借金の両方を土地開発公社から肩代わりしたのです。
つまり、ラスト・リゾートと言われる60、61街区も売却代金を借金の返済に充てなければ借金だけが残ることになります。市有地だからといって公共施設を建ててしまえば、残った借金は市民が返さなければならなくなります。そういうことにならないように60,61街区は民間による開発が望ましいと鈴木太郎は一貫して主張しています。複雑なスキームに惑わされることなく、将来世代に負担を先送りしないチャンスを創ってまいります。