ノンステップ連節バスの概要と特色
国内でも珍しい連節バス(ツインライナー)が神奈川県内で運行しており注目を集めているという。
神奈川中央交通株式会社が湘南台駅から慶応大学までの間と本厚木駅から厚木アクストまでの間の二路線で運行している。
そこで、山下正人(青葉区)、鈴木太郎(戸塚区)の二名の横浜市会議員が平成20年4月8日に同社厚木営業所を訪問し、政務調査活動を行った。
本レポートは連節バスの概要を調査するとともに特色をまとめたものである。
【運行概要】
■ 開通式 平成20年2月3日(日)
■ 運行開始 平成20年2月4日(月)
■ 導入路線 厚木バスセンター~厚木アクスト(4.0km)
■ 運 賃 大人190円 小人100円 (通常の路線バスと同様)
■ ICカード対応 PASMO 、Suica利用可
【車両概要】
ノンステップ連節バス
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大型ノンステップバス
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導入車両
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ドイツ メルセデス・ベンツ製
ノンステップ連節バス |
三菱ふそう製
ノンステップバス |
定 員
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131名
座席46名+立席84名+乗務員1名 |
70名
座席30名+立席39名+乗務員1名 |
全 長
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17.99m
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10.49m
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全 幅
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2.55m
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2.49m
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全 高
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3.07m
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3.04m
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【導入効果】
厚木アクストは約5,000人が就業するオフィスビルである。
通勤混雑時は、厚木バスセンターから一台のバスに乗車ができないような混雑状況だったが、ツインライナーを導入することにより、輸送力が向上し、バス停の混雑が緩和されただけでなく、結果として通常バスで運行していたときよりもバス便を削減することが可能となった。
【安全性】
通常のバスと比較をすると、車体距離が2倍あるので、運行上の困難、安全性は気になるところである。
実際に乗車をし、確認をするとステップには乗り降りを確認できるカメラが設置されており、3箇所の扉がすべて開放されるのは終点のみで、乗降時のトラブルは無いようだった。
また、大型2種の免許を持ったドライバーにとっては、少し練習をすることで、バスの運行にはすぐ慣れるとのこと。
バスの両サイドには運転席で側面を確認するカメラが導入されており、巻き込み等の安全性には配慮されていた。
また、乗務員が一人ですばやく操作をできる車椅子用のステップ。
万一、閉じ込められたときには、備え付けのハンマーでガラスを簡単に割れるように配慮されていたりと、ドイツ車(ベンツ社)らしい安全性の配慮が見られた。
ちなみに、車体価格は、通常車の約3倍となっている。
【鉄道との連携】
厚木アクストの通勤客の輸送手段として導入をされているために、小田急電車との運行状況の連絡は、緊密になされている。
駅構内で表示をされる電車の遅延情報等がバス車内でも流されており、本厚木駅からの電車のタイムリーな乗り継ぎ情報も大変便利である。
【所感】
バス事業の経営が厳しい状況下だが、民間事業者はバス離れをおこさない工夫、サービスに真剣に取り組んでる。経営的には、通常の3倍のコストをかけて車両を導入することは、判断の迷うところと推察するが、利用者の視点での導入決定は大変評価できる。
また、環境面からも輸送力UPによる渋滞緩和の一役を担っていることも、注目すべき点である。今後、地球温暖化の観点からも、公共交通の役割がますます重視されてくる。神奈川中央交通の取組みは横浜市にとっての参考となる点が多々あった。
今や神奈中の看板車両となった、ツインライナーは乗務員にとって、運行に携わりたい車両となっているようだ。 車両技術・乗務員マナー等に秀でた人材に運行を任せているために、この車両を任されたいと考える従業員にとって、社員モチベーションの向上につながったと いう。このことは、車両導入の大きな副産物のようだ。
横浜市会議員 山下正人
横浜市会議員 鈴木太郎