市営バス料金窃盗事件について

2007年7月16日

平成19年4月23日に横浜市営バス緑営業所職員松本賢伸(36歳)が、神奈川県警に緑営業所のバス料金窃盗容疑で逮捕され、その後、起訴されました。
6月19日には滝頭営業所助役鴨志田毅(52歳)が浅間町営業所のバス料金窃盗容疑で逮捕されました。
さらに6月29日には保土ヶ谷営業所長小池稔(52歳)が新たに窃盗容疑で逮捕されました。

この事件は第一義的には犯行を犯したものの資質の問題です。行政でも民間でも事業にともなって生じる現金を着服することは、たとえどんな理由があっても決してやってはいけないことであり、絶対に許されないことです。

しかし、どうも個人の問題だけで済まされない事情が交通局にはあるようです。そもそもこのようなバス料金窃盗事件を長期にわたり放置してしまった制度や仕組みがあり、そのように放置してしまう組織の風土や雰囲気があったわけです。

一方、交通局は今年度より「改善型公営企業」という一般会計任意補助金に頼らない民間並みの経営を目指しています。 現状の組織体質では「民間並み」というには程遠いと言わざるをえません。

このレポートではこれまでの市会水道・交通委員会での議論を踏まえて筆者個人が市営バス港南営業所と民間バス事業者の営業所を訪問した調査に基づいてまとめたものです。

事件概要

横浜市交通局が作成した「バス営業所における窃盗事件に関する調査報告」には次のように事件の概要が記されています。

「平成18年8月に浅間町営業所において、お客様が料金箱に投入された現金(以下「料金」という。)と料金箱データとの不整合が明らかとなり、調査を開始しましたが、平成19年2月の緑営業所の不整合が判明した後、総務部長をリーダーとする内部調査チームを3月16日(金)に設置し、原因を明らかにするため調査を開始するとともに、同月19日(月)には神奈川県警に捜査を要請しました。

そして、松本賢伸被告が逮捕された4月23日(月)に、職員による市営バス料金の窃盗事件が明らかとなり、重大な決意をもって調査・把握した事実の全容と取組状況を公表し、浅間町、保土ヶ谷、緑、野庭及び本牧の5つの営業所で、約8,830万円の不整合があることを明らかとしました。

売上を盗んでしまう職員(しかも公務員!)がいることに驚きます。このような事態にいたるまで8千万円を超える不整合に気づかない事業者にも驚きます。経営の原点といえる売上料金(しかも公金)の管理がいかにズサンだったか厳しい批判は免れません。

犯行手口

犯行がどのように行われたのか検証することは今後の再発防止策を考える上で重要です。そもそもバス料金はどのように管理されているのでしょうか?

  1. お客様がバスに乗車して料金をお支払いいただくと、その現金は料金箱の下にセットされた金庫に収納されます。
    これがバス車内にある料金箱。青い面の下部にある銀色のところを抜き取ることが出来ます。
    これが金庫です。
    乗務員は1日の営業が終わるとこの金庫を抜いて営業所に収めます。

    バス車内にある料金箱

    バス車内にある料金箱

  2. 一日の営業を終えた乗務員は料金箱から金庫を抜き取り営業所にある金庫回収機にセットして機械が料金データを集めるとともに金庫内の現金を金庫回収機に備え付けてあるコンテナに収納します。
    これが営業所にある金庫回収機。中央の穴に金庫を装てんし、料金データを送り、金庫内の現金を回収機内部のコンテナに収めます。

    営業所にある金庫回収機

    営業所にある金庫回収機

  3. このコンテナは警備会社によって銀行に届けられ現金を勘定して売上が確定します。
    ここで常識では考えられない点があります。
    上記2.のステップで集められる料金データと実際の現金は必ずしも一致しないのです。
    なぜか?

バスの料金箱には金庫とは別におつり銭用の金銭箱があります。ここから必要に応じておつりを排出するのですが、つり銭がたりなくなると収受した料金のほうから自動的につり銭箱へ補填されるようになっているのです。そのため料金データと現金は不整合が生じるのです。

たとえば、仮に乗客が一人だけで営業を終えたと仮定しましょう。その一人は210円の運賃に対して1000円を支払い790円のおつりを受け取りました。このときそれぞれどういう数字が残るのでしょうか?

まず、料金データですが、これは乗客一人分の210円の料金が記録されます。では金庫はというと、金庫の中には1000円の現金が残ります。そしてつり銭箱は当初より790円減っています。営業を終えた乗務員は営業所へ戻り金庫回収機に金庫をセットすると料金データとしては210円、現金は1000円となり不整合ができるようになっています。

今回の犯行はこの仕組みを悪用して金庫からコンテナに収納する際に現金を抜き取ったというわけです。

民間バス事業者では

実際に港南営業所でこの金庫回収機を見せてもらい、そのフローも教えてもらいました。そして、そこで筆者が感じたことは現金に対する認識の甘さです。つり銭の関係から料金データと現金の間に不整合が生じるのは理解できます。しかし、このやり方では営業所ごとに(そしてバス1台ごとに)いったいいくらの現金が売上として収納されたのかわからないまま銀行に渡してしまっているわけです。

そこで民間バス事業者ではどのように取り扱っているのか疑問に思ったので、ある民間事業者の営業所を訪問しました。民間の営業所にも同様の金庫回収機がありましたが、少し様子が違っていました。

民間の営業所の金庫回収機

民間の営業所の金庫回収機

さきほどの金庫回収機と形は違いますが同様の機能を持った機械です。

それはバスに装填される金庫から現金を回収し、同じように料金データを取り込むのですが、それだけではなくてバス1台ごとに現金を数える機械も取り付けられていたのです。

民間事業者の現金計数機

民間事業者の現金計数機

民間事業者の営業所にあった現金計数機。
金庫回収機と接続していて金庫内の現金を数えていました。

現金計数機の上部モニター

現金計数機の上部モニター

現金計数機の上部モニターを拡大したもの。金庫内の金種ごとの数が数えられて記録されます。

さらに、この営業所ではこれらの機械が設置されている部屋に人の動きに反応する防犯カメラも設置されていました。あきらかに経営の原点である料金に対する危機管理意識が違っていました。

防犯カメラ

防犯カメラ

現金計数機が設置された部屋に備え付けられた防犯カメラ。人の動きを感知します。

鈴木太郎のヒトコト

公金を公金と思わない公務員がいる組織というのは、今、国民の批判にさらされている社会保険庁を連想させます。今回の事件は限られたふとどき者による犯行ととらえるのではなくて、組織体質や風土とともに考えなければなりません。
筆者による調査からもわかるとおり現金に対する危機管理ひとつとっても民間の方が優れています。

果たして本当に横浜市が公営によってバス事業を展開する意義があるのか再考する必要も出てくるのではないでしょうか?本当に「改善型公営企業」として成り立つのでしょうか?市民の皆様とともにチェックしていかなければなりません。

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